春のシジミチョウたち(2013年4月11日)

「おい、スギタニ君はどうした。今日も欠勤か」
「どうもこの春は体調が宜しくないようで…」
「春は、って春しか働かないのにどうしたんだ」

どこかの職場の話ではない。
野山でのスギタニルリシジミの話だ。
スギタニルリシジミは、ミヤマセセリ、コツバメと同様にスプリング・エフェメラルの一つに数えられる、3〜4月の短い間にしか見られない蝶だ。
今年は3月29日、とても蝶の少ない日に裏高尾の林道入口で1匹だけ見かけたのが最初(写真1)。
これからたくさん見られるだろうと思ったのに、その後さっぱり。
1年前にはたくさん見かけた神奈川県の里山に4月4日に出かけた時にもほんの数えるほどしか見かけなかった(写真2)。

▼写真1 スギタニルリシジミ(2013年3月29日、裏高尾)
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▼写真2 スギタニルリシジミ&オオイヌノフグリ(2013年4月4日、神奈川県)
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4月9日に同じ里山に出かけた際には、チャンスがあればスギタニルリシジミも熱心に撮ってみようと思っていたが、まったく見られず仕舞いだった。
仕方がないので昨年4月13日にこの里で撮影した写真を1枚載せてみる(写真3)。
スギタニルリシジミは眼が黒い点でヤマトシジミと区別はできるが、ルリシジミと区別するのは意外に厄介だ(注1)。
後翅裏翅肛角部付近の黒い斑点が繋がるとスギタニルリシジミ、繋がっていないとルリシジミという判断基準があるが、実際にはスギタニルリシジミには両方のタイプがあり、むしろ裏翅の黒い斑点の周囲に白い縁取りがあるかどうかで判断した方が良い場合がある(写真4)。
…今でこそやれルリシジミだ、やれスギタニルリシジミだなどと分かったらしく言っている私であるが、ほんの2年前の2011年春には、ヤマトシジミとルリシジミの区別もつかないチョー初心者だった。
ましてスギタニルリシジミなんて名前も知らなかった。
写真4はそんな頃に高尾山麓で撮ったもので、パソコン内の画像ファイルには「ヤマトシジミ→ルリシジミかも」と書いてある。写真も今見るとちょっといただけない(苦笑)。一応しゃがんではいるのだろうが、上から覗き込んで撮っただけだ。

▼写真3 スギタニルリシジミ 左右ともに同種(2012年4月13日、神奈川県)
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※ニコンD90&タムロンSP AF90mm f /2.8 Di MACRO+Kenko 1.4× TELEPLUS MC4

▼写真4 スギタニルリシジミ(2011年4月11日、高尾山麓)
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※ニコンD90&AF Nikkor 35−80mm f/4−5.6 D

えーと、そんな訳で、今年の春はスギタニルリシジミがさっぱりなのだが、ルリシジミだけは少し撮れた(写真5、6)。
ルリシジミ♀の開翅写真は初めて撮った気がする。まだ撮ったことはないが、ウラゴマダラシジミの開翅にちょっと似ているんだと思いながら撮った。

▼写真5 ルリシジミ♀&蕗の花(2013年4月4日、神奈川県)
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▼写真6 ルリシジミ♀ 開翅(ノートリミング、2013年4月4日、神奈川県)
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このルリシジミは山麓の同じ場所にしばらくとまっていたので、数人でかわるがわる撮った。
その時のこと、蕗の花にとまるルリシジミを撮るのに、自分より年長のお二人が地面に横たわって撮っておられる。
蕗の花を真ん中にして左右に一人ずつ、すっかり地べたに腹這いになってカメラを構えるおじさん二人…。
うーん、すごい。
そのシーンを写真に収めたかったが、愛用の105ミリマクロだと撮りきれない。こんな時のために広角レンズが必要だ(笑)。
この日シロツメクサにとまるコツバメを撮るのに四つん這いになっていた私だが、それどころではない。
しかも相手は、言ってみれば普通種のルリシジミだ。
こうした普通種の蝶を撮る時にもまったく手を抜かずに撮る姿勢はとても勉強になる。
こういう蝶をちゃんと撮れない人間に、たとえばミドリシジミやウラゴマダラシジミと出会った時に、良い写真が撮れっこない。その辺にいるヤマトシジミやベニシジミも、撮るならしっかり撮らないといけない。そんなことを考えたりする。

以下は4月9日に撮影したトラフシジミ春型。4月10日付けの記事に書いたが、おそらく同じ個体を撮った方が十数人はおられるだろう(写真7、8)。
ちょっと古いが写真9はトラフシジミ春型を初めて撮った時のもの。故郷に帰省中の朝7時16分に実家近くの山で撮影している。
子供の頃には昆虫少年だったような気がするが、身近にこんな蝶がいるとはまったく知らなかった。

▼写真7 トラフシジミ春型(2013年4月9日、神奈川県)
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▼写真8 同上(2013年4月9日、神奈川県)
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▼写真9 トラフシジミ春型(初撮り)(2011年5月19日、岩手県大船渡市)
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※ニコンD90&タムロンSP AF90mm f /2.8 Di MACRO

本来ならここでツバメシジミを載せたいところなのだが、残念ながら今年はまだ見ていない。
まあ、春はまだまだこれから。コツバメだってスギタニルリシジミだって、これからも会える。そう思いたい。

(注1)私は東京近辺で主に撮影しているので出会ったことはないが、似た種にシルビアシジミ、ヒメシルビアシジミ、ハマヤマトシジミ、ホリイコシジミ、ヤクシマルリシジミ、サツマシジミなどがあり、これらの分布域で撮影している方は判別に注意が必要。

参考文献:『フィールドガイド 日本のチョウ』(日本チョウ類保全協会編、誠文堂新光社)

撮影機材:※印以外はニコンD7000&AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
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by mikiosu | 2013-04-11 05:34 | | Comments(0)

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