ダビドサナエとクロサナエの識別 (2013年5月11日)
拙ブログにて最初に取り上げたトンボの記事で(4月18日付け『春のトンボたち』)、いきなりダビドサナエとクロサナエを間違えてしまったのが何だかトラウマになっている。
他のところでもいろいろ間違えているかも知れないのは取りあえず棚に上げて(笑)、その後いくつかダビドサナエの写真を撮ることができたので、クロサナエとの識別ポイントを、確認の意味をこめて取り上げておきたい。
写真1〜3は連休明けの5月7日に撮影したダビドサナエたち。
♂の写真は遠くから撮れただけだが、♀の方は数匹見ることができた。
▼写真1 ダビドサナエ♂ 背面(2013年5月7日、東京都)
ダビドサナエ♂は成熟すると黄色い模様がやや水色を帯びた色になってくるようだ。
腹部第10節の両脇が突出するのがダビドサナエ♂の特徴だ。
▼写真2 ダビドサナエ♀ 捕食中(2013年5月7日、東京都)
写真2のダビドサナエ♀は何か食べていた。葉上に散らばった残骸は甲虫の鞘翅のように見える。
この日はあちこちでカワゲラ、トビケラ、カゲロウの姿が見られた。同じ場所で見かけたニホンカワトンボはカワゲラやカゲロウを捕食していた。この時期、餌に困ることはないようだ。
▼写真3 羽化間もないダビドサナエ♀ (2013年5月7日、東京都)
写真3は羽化間もない個体と思われる。
羽化間もない複数のクロサナエを撮ったのが4月22日で、同じポイントでダビドサナエ♀の羽化が複数見られた。このポイントでは1〜2週間ほどダビドサナエが遅れて羽化するのかもしれない。
これに関しては来年以降も継続して観察するしかない。
さて、ここからが今日の本題。
ダビドサナエ♀とクロサナエ♀の翅胸背面を比較してみた(写真4、5)。
▼写真4 ダビドサナエ♀ 背面(2013年5月7日、東京都)
▼写真5 羽化間もないクロサナエ♀ 背面(2013年4月23日、東京都)
一見同じ模様で区別しにくいが、ここに大きな識別ポイントがある。
複眼と翅胸の間を前胸と呼ぶ。前胸背面の左右に黄色い斑点があるのがダビドサナエ(写真4)、ないのがクロサナエ(写真5)である。
次は側面の比較写真(写真6、7)。
▼写真6 ダビドサナエ♀ 側面(2013年5月7日、東京都)
▼写真7 羽化間もないクロサナエ♀ 側面(2013年4月22日、東京都)
ダビドサナエは翅胸部の2本目の黄色条が下の方まで伸び、先端部分はなんだかグニャグニャしている。
一方、クロサナエの2本目の黄色条は下まで伸びず、途中で途切れたような感じだ。
翅胸側面の模様には個体差があり、クロサナエの黄色条でも尖りながら下の方へ伸びる場合もあるようだが、ダビドサナエのようにグニャグニャしていないので識別できるように思う。
もうひとつ大きな識別ポイントがある。
トンボの脚は前脚、中脚、後脚の6本。前脚と中脚の付け根に黄色斑があるのがダビドサナエ(写真6)、黄色斑が中脚付け根にしかないのがクロサナエである(写真7)。
以上、3点の識別ポイントを挙げてみた。
1、2度撮って満足せず、いろいろな個体をいろいろな角度からたくさん撮ってみることが重要だなと思う。
なお、ダビドサナエの翅胸には黒い線(側縫線)が2本あるのが普通だが、中には第一側縫線が背面まで届かず、途中で消失している個体があり、これを黄化型と呼ぶそうだ(
ダビドサナエとクロサナエの識別に関してはまあ何とかなりそうだが、今度はモイワサナエとの識別が厄介になりそうだ。幸い関東近辺でお目にかかることはあまり無さそうなのでホッと胸をなで下ろしている(笑)。
▼写真8
※後日写真8がダビドサナエ♀ではなく、ヒメクロサナエ♀であることが判明。本文中も青字で訂正した(2014年4月23日記)。
参考サイト:とんぼ観察図鑑
参考文献:『ネイチャーガイド 日本のトンボ』(尾園暁、川島逸郎、二橋亮著、文一総合出版)
撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
by mikiosu | 2013-05-11 12:15 | 蜻蛉 | Comments(8)
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himeoo27 at 2013-05-11 15:53
トンボは成熟により色合いが変わるので私は
同定に四苦八苦しています。これだけ大きく
クリアーに撮るとその違いが良くわかりますね!
同定に四苦八苦しています。これだけ大きく
クリアーに撮るとその違いが良くわかりますね!
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みき♂
at 2013-05-11 21:57
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puntamama at 2014-04-21 22:19
こんばんは!
同定に四苦八苦しているおばさんです! (笑)
何時も参考にしているサイトでは良く分からずに
ダビドとクロの識別を検索していましたら・・・
なんと みき♂ さんのこの記事に!
お陰様でなんとか同定できたようです
間違っていたらご教示下さい
今回はしっかり撮らなくて反省してます!
これからも宜しくお願いしますね (^^;
同定に四苦八苦しているおばさんです! (笑)
何時も参考にしているサイトでは良く分からずに
ダビドとクロの識別を検索していましたら・・・
なんと みき♂ さんのこの記事に!
お陰様でなんとか同定できたようです
間違っていたらご教示下さい
今回はしっかり撮らなくて反省してます!
これからも宜しくお願いしますね (^^;
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みき♂
at 2014-04-21 23:28
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puntamama様
コメントありがとうございます。
参考にしていただけたようで、嬉しいです。
自分自身が以前の記事で間違えていたので、これらの識別には意地になっているところが結構あります(笑)。
コメントありがとうございます。
参考にしていただけたようで、嬉しいです。
自分自身が以前の記事で間違えていたので、これらの識別には意地になっているところが結構あります(笑)。
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Nature_Oyaji at 2015-04-30 00:30
こんばんは。
このダビドサナエの投稿を見て、改めて先日撮影した個体についてチェックポイントを確認しました。なるほど、自分の撮影個体にも黄色の点が横から見えます。
尾部脇の模様は色違いになっていましたが、時間が経つとすべて黄色になるというのも覚えました。
このダビドサナエの投稿を見て、改めて先日撮影した個体についてチェックポイントを確認しました。なるほど、自分の撮影個体にも黄色の点が横から見えます。
尾部脇の模様は色違いになっていましたが、時間が経つとすべて黄色になるというのも覚えました。
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mikiosu at 2015-04-30 02:14
Nature Oyaji様
コメントありがとうございます。
トンボの同定はなかなか難しく、これまでいろいろ恥ずかしい間違いをしでかしています(苦笑)。
間違いも自分はもとよりどなたかのお役に立つかもしれないと、書き換えずに訂正文で対応してます。いや、ホント恥ずかしいんですけどね(笑)。
コメントありがとうございます。
トンボの同定はなかなか難しく、これまでいろいろ恥ずかしい間違いをしでかしています(苦笑)。
間違いも自分はもとよりどなたかのお役に立つかもしれないと、書き換えずに訂正文で対応してます。いや、ホント恥ずかしいんですけどね(笑)。
はじめまして、ダッファーといいます。
ダビドサナエとクロサナエの識別に関して、写真と解説文で詳細に述べられ、知識のないわたしにもよく理解出来ました。
先日(2021年4月15日)に撮ったトンボの種がどのサナエに当てはまるのか分からず悶々としていました。
ダビドサナエであることがはっきりし、やっと落ち着きました。
ありがとうございます。
ダビドサナエとクロサナエの識別に関して、写真と解説文で詳細に述べられ、知識のないわたしにもよく理解出来ました。
先日(2021年4月15日)に撮ったトンボの種がどのサナエに当てはまるのか分からず悶々としていました。
ダビドサナエであることがはっきりし、やっと落ち着きました。
ありがとうございます。
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mikiosu at 2021-04-30 02:50