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里の蝶たち(2013年4月10日)

4月4日に神奈川県までギフチョウを撮りに行った次第は既に述べた。
同じ里に4月9日、もう一度足を運んでみた。
ギフチョウはもちろんだが、まだちょっとしか撮れていないスギタニルリシジミや、あわよくばもう一度コツバメも…と思っていた。
この日は主フィールドの昆虫観察の大先輩「公園昆虫記」のおはるさんとご一緒した。
前回通り、8時発のバスで現地に。まだ朝は肌寒いが、前回よりもやや暖かい日だ。
山麓を回ると、ミツバツツジに来るギフチョウの姿があり、今日もギフチョウは元気そうだと安心する。
山麓で少しギフチョウを撮った後、9時過ぎには山頂へ向かう。
この日は卵も見てみたいので、途中で見かけたカンアオイの葉裏をいくつかチェックしてみるが、残念ながら見つからない。
中腹ではギフチョウの舞う姿は思ったより少なかった。
しかし山頂に着くと、これまでより多くのギフチョウがいた。常に数匹、時には4〜5匹が絡むように飛び回っている(写真1)。
蝶狙いの人はもちろん、花狙いのウォーキングの人も熱心にギフチョウを撮影していた。
私もいくらか撮ったが、どうも擦れている個体が多い。この日は山麓のミツバツツジで撮った個体がまだ綺麗な方だった。裏翅なので擦れが目立たなかっただけかもしれない(写真2)。
同行したおはるさんはさすがに目ざとく、擦れのない綺麗な個体も撮っておられたようだ。

▼写真1 ギフチョウ飛翔中 山頂にて(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_13153327.jpg


▼写真2 ギフチョウ&ミツバツツジ 山麓にて(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_13153419.jpg


▼写真3 ギフチョウ その3 中腹にて(2013年4月9日、神奈川県)
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そうこうするうちに小学生の遠足のグループが来て記念写真を撮りはじめたのでぼちぼち下りることにした。
下山中にはギフチョウがひらひら舞う姿もそこそこ見られたので、登る時間が少し早かったのかもしれない。
4月4日に現地で会った知り合いのI氏も今日は来ると言っていたので、どこかで会うだろうと思っていたところ、下山中に降りていく後ろ姿を見かけて声をかける。
「卵を見たかったのに、見つからない」
と私が言うと、
「その辺の葉裏にあったよ」
と、こともなげに言う。
指差す葉裏を見ると、あった。なかなか綺麗な色の卵だ(写真4、5)。

▼写真4 ギフチョウの卵 その1(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_13155747.jpg


▼写真5 ギフチョウの卵 その2(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_13161186.jpg


卵数は大体7〜8個のようだ。幼虫が1匹で7〜8枚の葉を食べるとして、仮に8×8とすると64枚は必要になる。
見渡したところ、カンアオイは散見されるが、そんなにたくさんは見られない。
1回の産卵数でこれだから、やはり生存競争は大変なのだろう。
そう思うと、ちょっと擦れた個体だから…などと言っているのが何だか恥ずかしくなり、慌てて擦れた成虫の写真も載せてみる(順序は逆になるが写真3)。
これも厳しい生存競争を勝ち抜こうと必死な姿なのだ。

一度見てみたかった卵も撮れて、山麓でしばらく蝶の姿を探す。
前回ほとんどシャッターチャンスのなかったミヤマセセリも時折とまるので、これ幸いと写真を撮ったが、ギフチョウ同様これもかなり擦れている(写真6、7)。

▼写真6 ミヤマセセリ♂ 山頂にて(2013年4月9日、神奈川県)
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▼写真7 ミヤマセセリ♀ 中腹にて(2013年4月9日、神奈川県)
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山麓をうろうろしてもどうもスギタニルリシジミは見つからない。
いるのはルリシジミばかりだ(写真8)。

▼写真8 ルリシジミ&ミツバツツジ 山麓にて(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_1316548.jpg


川辺を歩いていると表翅の薄青い色を煌めかせて飛んでいる蝶がいた。コツバメかと思ったが、とまったところを見るとトラフシジミ春型だった。
トラフシジミも今季初見なのでちょっと嬉しい。
このトラフシジミは、川辺にしばらくとまったあと、葉上にとまってそれきり動かない。
どなたかが手に乗せて撮りやすい葉上に移動させたところ、1時間以上もそのままじっとしていた。
この日はこのトラフシジミを撮った方がたくさんおられるだろう(写真9)。

▼写真9 トラフシジミ春型(2013年4月9日、神奈川県)
里の蝶たち(2013年4月10日)_d0303129_1317564.jpg


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この日は山頂でこういうことがあった。
斜面にとまったミヤマセセリを撮ろうと斜面を少し降りて撮っていたのだが、近くの初老の男性に、
「そんなところ歩いたらセンボンヤリがみんな踏みつぶされちゃうよ!」
と言われた。これにはさすがに、
「いや、これは失礼」
と言うしかなかった。私は花も時折撮るので、蝶を撮るのに花などどうでもいいとは決して思わない。
実はこのちょっと前に、センボンヤリが咲いているね、と言っていたご婦人のグループがいたのだが、そのうちの一人が、こっそりセンボンヤリの1本を手で抜いていたのを目撃し、あ〜あ、何やってんだか、と思っていると、先の男性がそれは良くないよとたしなめていて、全くだ! と思ったばかりだった。
私は花を直接踏んだ訳ではないが、その近くを踏み荒らしたのは確かで、ことによると1本抜くより酷いことをした可能性もある。反省。
花を愛でる方の中には、蝶を追いかける人を苦々しく思っている方もおられるかもしれない。
しかし昆虫を撮る人の多くは、花はどうでもいいとは決して思っていない。それは分かっていただきたいものである。

撮影機材:ニコンD7000&AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

by mikiosu | 2013-04-10 13:35 | | Comments(2)

Commented by himeoo27 at 2013-04-13 08:44
ギフチョウ2頭が並んで飛翔するシーン素敵ですね!
春型のトラフシジミの裏翅も模様がクッキリしてお洒落
です。
Commented by みき♂ at 2013-04-13 09:59 x
himeooさん、コメントありがとうございます。
飛翔写真はヘタクソですが、数打ちゃ当たるで何とか撮れていました。
トラフシジミ春型はメリハリの利いた模様が好きです。
昨年は開翅写真がなかなか撮れなかったので、今年こそはと思っています。
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