5月12日のトンボ遠征の最後を締めるのはキバネツノトンボ。と言ってもトンボの仲間ではない。説明は難しいので興味のある方は自分で調べるように(笑)。
キバネツノトンボは日が差さないと飛び出さない。この日はちょっと薄曇りで時折思い出したように日が差す感じ。日が陰るとキバネツノトンボはじっとしていて、日が差すととたんに飛び出してくる。春先のギフチョウやウスバシロチョウと同じような感じと言えば分かりやすいだろうか。
岩の上にとまっているコサナエや枝先にとまっているハラビロトンボはたっぷり撮れたけれど、肝心のキバネツノトンボはほとんど飛んでいなかった。飛んでいないと探すのは厄介なのだが、空を見上げるともうじき晴れ間が広がりそうだし、そう慌てることもないかな。
そう思った矢先にとまっている個体を見つけた。
写真1はキバネツノトンボ♀。
尾端の形状から♀と分かる。
▼写真1 キバネツノトンボ♀ その1a(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)

拡大してみる(写真2)。
厳密に言うと拡大したんじゃなくて近づいて撮ったのだ。
▼写真2 キバネツノトンボ♀ その1b(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真1、2はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
なるべく顔をはっきり撮る(写真3)。
何度見ても顔の構造がよく分からない。
▼写真3 キバネツノトンボ♀ その1c(2018年5月12日、埼玉県)
※写真3はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
小飛して近くにとまったのを腹面から撮る(写真4)。
▼写真4 キバネツノトンボ♀ その1d 腹面(2018年5月12日、埼玉県)
※写真4はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
気がつくと近くにもう1匹とまっていた(写真5)。
▼写真5 キバネツノトンボ♀ その2a(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)

そっと近づいて背面から撮る(写真6)。
これも♀だった。逃げないのは日が陰っているせいかな。
▼写真6 キバネツノトンボ♀ その2b(2018年5月12日、埼玉県)
※写真5、6はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
さらにもう1匹見つけた(写真7)。
▼写真7 キバネツノトンボ♀ その3a(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真7はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5Macro
せっかくなのでマクロフラッシュで顔面を撮ってみた(写真8)。
これで顔の構造がすっかり分かるはず…と思ったがそうでもなかった。
何となくピカチュウとかピチューに似ている気がした。黄色と黒だし(笑)。
▼写真8 キバネツノトンボ♀ その3b(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真8はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5Macro&マクロフラッシュSTF-8
写真9、10は引いて撮ってみたもの。
付近にはシランの花が咲いていた。
▼写真9 キバネツノトンボ♀ その4a 腹面(2018年5月12日、埼玉県)

▼写真10 キバネツノトンボ♀ その4b 開翅(2018年5月12日、埼玉県)
※写真9、10はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
歩き回っていると♀が2匹とまっていた(写真11)。
▼写真11 キバネツノトンボ♀ その5a&6a(2018年5月12日、埼玉県)

右側の個体は翅を震わせていたので飛び立つかと思って狙ってみた(写真12)。
とまっていた場所を中心に円を描くように飛んでから去っていった。
▼写真12 キバネツノトンボ♀ その5b&6b飛翔中(2018年5月12日、埼玉県)
※写真11、12はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
この日見かけたキバネツノトンボはほとんど♀で、♂は1匹だけだった(写真13)。
♂の姿が少ないのはすでに終盤にさしかかっているからだろうか。
▼写真13 キバネツノトンボ♂ 開翅(2018年5月12日、埼玉県)
※写真13はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
さて、♂を1匹載せて終わり…ではない。
本番はこれからですぞ(笑)。
最初に見つけた♀の近くにさらに2匹の♀がいて、ほかにも♀がとまっていたのだ。
それは産卵中の♀だった(写真14)。
接近してしっかり撮るために30ミリマクロレンズを使った。
▼写真14 キバネツノトンボ♀ その7a 産卵中(2018年5月12日、埼玉県)

尾端を茎の左右に押しつけながら交互に産み付けていたようだ(写真15、16)。
▼写真15 キバネツノトンボ♀ その7b 産卵中(2018年5月12日、埼玉県)

▼写真16 キバネツノトンボ♀ その7c 産卵中(2018年5月12日、埼玉県)
※写真14〜16はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5Macro
せっかくなのでフィッシュアイレンズでも撮っておく(写真17)。
▼写真17 キバネツノトンボ♀ その7d 産卵中(2018年5月12日、埼玉県)
※写真17はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
60ミリマクロレンズで撮ってみた中に産卵管らしきものが写っていた(写真18)。
これで見ると腹部の先端ではなく少し手前に産卵管があるようだ。
▼写真18 キバネツノトンボ♀ その7e 産卵中(2018年5月12日、埼玉県)
※写真18はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
写真19は産卵が終了した様子。
最初に撮った写真と比較してみよう(写真20)。
角度がちょっと異なるけれど、撮りはじめよりかなり卵の数が増えているのがお分かりいただけるだろうか。産卵中の♀は徐々に上の方に移動しながら産み付けていたのだ。
▼写真19 キバネツノトンボ♀ その7f 産卵中(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真19はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
▼写真20 キバネツノトンボ♀ その7g 産卵中(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真20はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5Macro
写真21は産卵後に翅を震わせているところ。
この後まもなく飛び去っていった。撮り始めから約12分の出来事であった。
▼写真21 キバネツノトンボ♀ その7h(ノートリミング、2018年5月12日、埼玉県)
※写真21はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
写真22はキバネツノトンボが飛び去った後に撮った卵。
数えてみると茎の右側に58個、左側に59個、合計117個。自分が見た12分の間に産み付けたのは43個くらいと思われる。
『虫の卵ハンドブック』によると一度に産む卵の数は20〜70個とあるので、全部この個体が産み付けたかどうかは議論の余地があるかもしれない。
そう思って眺めると写真の右側半分(茎の下)と左側半分(茎の上)では色合いがちょっと違う。右側が薄く見えるのであるいは他の個体が以前産み付けたものなのかもしれない。
▼写真22 キバネツノトンボの卵(2018年5月12日、埼玉県)
※写真22はOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II & M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5Macro
うっかり卵にスケールをあてて撮るのを失念してしまったが、昆虫の卵としてはかなり大きな卵だ。産卵終了後の腹部はさすがにほっそりして見える。
以前撮ったツノトンボの卵と同じかちょっと大きいくらいか(過去記事は
→こちら)。
これでキバネツノトンボは成虫♂、成虫♀、
交尾シーン、産卵シーン、卵と撮れたことになる。あとは幼虫かあ…(遠い目)。