春のトンボたち(2013年4月18日)

成虫で越冬するオツネントンボ類を除けば、トンボが出るのは早くても4月下旬〜5月上旬と踏んでいたが、ちょっと甘かったようだ。
今年のトンボが出る前に「トンボの季節に先駆けて−−トンボ編」「同−−イトトンボ編」と題して昨年撮影したトンボの紹介を目論んでいたのだが、時期を失してしまった。
もうトンボが出ていたのだ。
4月13日、ギンイチモンジセセリを探して郊外の河川敷を歩いていると、トンボが足元から飛んで逃げるのを2〜3度見かけた。
今年はまだトンボを見かけていなかったので、何とか1匹くらい撮影したいと追いかけてみたところ、あまり遠くまで飛んで行かない個体がいた。
草の上にとまったところを撮ってみるとダビドサナエ♀だった(写真1、2)。
一応飛べる状態ではあったようだが、とまったところを見ると翅の畳み方も変だし、複眼の色もまだ出ていない。多分羽化間もない個体なのだろう。
念のため昨年撮った個体と比べてみる(写真3)。
昨年は5月11日が初見だったが、それほど熱心に探していた訳でもないので、今年の初見が早いとは一概に言えないかもしれない。
ダビドサナエはなかなか愛嬌のある顔をしている(写真4)。(写真4はダビドサナエ♀ではなく、クロサナエ♀の間違いのようだ)
ダビドサナエ♂の腹部には♀のように黄色い斑紋が入っていないので判別できるようだ(写真5)。
(写真5もダビドサナエ♂ではなく、クロサナエ♂のようだ)

▼写真1 ダビドサナエ♀ 羽化間もない個体?(ノートリミング、2013年4月13日、八王子市)
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▼写真2 同上(2013年4月13日、八王子市)
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▼写真3 昨年のダビドサナエ♀(2012年5月11日、裏高尾)
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※ニコンD90 & タムロンSP AF90mm f /2.8 Di MACRO

▼写真4 昨年のダビドサナエ♀ 顔面(2012年5月26日、奥高尾)(→クロサナエ♀に訂正)
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※ニコンD90 & タムロンSP AF90mm f /2.8 Di MACRO

▼写真5 昨年のダビドサナエ♂(2012年5月26日、奥高尾)(→クロサナエ♂に訂正)
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※ニコンD90 & タムロンSP AF90mm f /2.8 Di MACRO

4月17日には、春の大物蛾とトンボとの出会いを期待して郊外の里山に出かけてみた。
大物蛾には出会えなかったが、トンボにはたくさん出会えた。たくさんと言ってもほとんどはシオヤトンボだった(写真6〜8)。
♂は縄張りを張って飛び回っている個体が多く、のんびりひなたぼっこしているのは♀が多かった。
トンボの♂は未成熟の間、♀と同じような色をしている種がある。このような場合、腹部先端の形状などで判別するが、よく観察しないとはっきりとは分からない場合が多い。
写真8はシオヤトンボの♀と思うが、写真9はどうもシオカラトンボの♀のようだ(通称ムギワラトンボ)。→(写真8は未成熟のシオヤトンボ♂と思われる)
撮った時には気が付かなかったが、家でよく写真を吟味すると、腹部の幅、模様が微妙に異なるし、腹部先端の形状も違っている。色もシオヤトンボ♀は先端が黒っぽく、シオカラトンボ♀は明らかに白い。
この2種は胸部(翅胸)の模様でも判別できるようだ。また、シオヤトンボは♂♀ともに翅の基部が濃い橙色をしていることも識別ポイントになる。
こんなにたくさん識別ポイントがあるのに、野外で撮った時には気が付かなかったのだから、一見似ているとはいえ、うっかりにもほどがある。
トンボの同定も意外に難しいものだ。ごく普通種と言えるシオヤトンボとシオカラトンボの判別でさえなかなかややこしいのだから、他の種の難しさは推して知るべし…ということ。
それでも、いろいろなポイントで識別できるようになると、少しは正確に同定できるようになるのだろう。何事も経験を積むことが大事だ。
(注−−この記事を一旦アップしてから後で気が付いたが、縁紋の色も違うようだ。シオヤトンボの縁紋は黄褐色で、シオカラトンボは黒だ)

▼写真6 シオヤトンボ♂(ノートリミング、2013年4月17日、あきる野市)
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▼写真7 同上(2013年4月17日、あきる野市)
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▼写真8 シオヤトンボ♀(2013年4月17日、あきる野市)(→未成熟のシオヤトンボ♂に訂正)
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▼写真9 シオカラトンボ♀(2013年4月17日、あきる野市)
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前述のように、昨年ダビドサナエを初めて見たのは5月11日だが、5月7日には既にカワトンボを見ていた。
今年はまだ今のところカワトンボの発生は確認できていない。
カワトンボはすぐに逃げるのが癪に障るので、昨年も一昨年もそれほど熱心に撮っていなかった(笑)。そのため手元にあまり良い写真がない。今年は少し気合いを入れて撮ろうと思っている。

※1 その後本稿に掲げた写真4、写真5がダビドサナエではなくクロサナエの間違いではないかということに気が付いた。本文中も青字で訂正しておく(2013年4月23日)。
※2 その後本稿に掲げた写真8が、シオヤトンボ♀ではなく、未成熟のシオヤトンボ♂の間違いではないかということに気が付いた。本文中も青字で訂正しておく(2013年5月17日)。

参考文献:『ネイチャーガイド 日本のトンボ』(尾園暁、川島逸郎、二橋亮、文一総合出版)

撮影機材:※印以外はニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-04-18 23:23 | 蜻蛉 | Comments(0)

春の大物蛾・イボタガ、初見・初撮り(2013年4月16日)

このところ蝶の話題が続いたので、そろそろ何か別の昆虫を取り上げたいと思っていた4月15日、トンボが発生しているかどうかチェックを兼ねて裏高尾方面へ遠征してみた。そこでついに大物に出会った。
イボタガだ!
道路脇の地上20センチくらいの高さにとまっているのを見つけたのだ。
通り過ぎかけて、ふと眼の端に何か見えたような気がして振り返ると、そこにいた。
ああ、よく気が付いたと自分を褒めてあげたい(笑)。
しゃがんで撮るのにもまだ低い位置にいたので、道路脇に横たわるようにして撮る(写真1〜4)。こんな時のためにいつも汚い服を着ている(苦笑)。

▼写真1 イボタガ 自然光にて(2013年4月15日、裏高尾)
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▼写真2 イボタガ ストロボ撮影(2013年4月15日、裏高尾)
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▼写真3 イボタガ 触角(2013年4月15日、裏高尾)
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▼写真4 イボタガ 脚&触角(2013年4月15日、裏高尾)
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オオシモフリスズメ、エゾヨツメ、イボタガ。これらを春の大物蛾の御三家と言って良いと思う。
このうちオオシモフリスズメは、長野県南部以西に生息するらしいので、都内で見つけられるとすれば、エゾヨツメとイボタガである。
蝶や蛾を撮るようになって、いつの頃からかこれらを見てみたいと切に願うようになった。
特に昨年春はかなり意識して探したが、残念ながら出会う機会がなかった。
今年は花が咲くのも早ければ各種の昆虫の発生も早く、4月の半ばを迎えてかなり焦りはじめていた。
その矢先の突然の出会いである。
嬉しい!
まあ、蛾に興味のない方には、こんなものに出会って何が嬉しいのかと思われるだろう。
しかし、イボタガは蛾を見つけることに喜びを感じる人間にはある種特別の存在だ。
この芸術的な翅の模様…、曲線を多用したデザインはアールヌーボー様式だろうか。金地に黒の色使いはクリムトか。
いずれにしてもこの蛾の美しさはシンプルな美とは対極にある、豪奢な美だ。
イボタガは英語ではOwl moth(フクロウ蛾)というらしい。
前翅の眼状紋はフクロウの眼、翅を広げていないので分かりにくいが、腹部が嘴というわけだ。
前翅先端には鳥の翅の模様まである(写真5)。
ちなみに、イボタガは♂も♀も触角が櫛歯状に発達している。これだけでは♂か♀か分からないようだ。

▼写真5 イボタガ 前翅右側(2013年4月15日、裏高尾)
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帰宅後に思ったが、突ついてもう少し後翅を出してもらえば良かった。
これまでの経験だと、初めて見た昆虫は、一度見かけると続けて見かけることがある。また近いうちに見かけることがあるだろうか。
その時にはもう少し翅を広げた写真も撮ってみたい。

ついでながら、この日も含めて、4月中に撮った他の蛾の写真も少し紹介しておく(写真6〜13)。

▼写真6 クロフオオシロエダシャク 電柱にて(2013年4月15日、裏高尾)
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▼写真7 モミジツマキリエダシャク♀ 葉上にて(2013年4月11日、武蔵野市)
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▼写真8 フトジマナミシャク 木の幹にて(2013年4月11日、武蔵野市)
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▼写真9 カシワキボシキリガ 駅舎の窓にて(2013年4月9日、神奈川県)
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▼写真10 カシワキリガ♂ 公園内のトイレにて(2013年4月5日、武蔵野市)
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▼写真11 テングアツバ 電柱にて(2013年4月15日、裏高尾)
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▼写真12 ノヒラトビモンシャチホコ 石川会長の手乗り(2013年4月9日、神奈川県)
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▼写真13 イカリモンガ♂ 林縁の葉上にて(2013年4月15日、裏高尾)
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写真13のイカリモンガにはちょっとした思い出がある。
この蛾を初めて見たのは2011年7月に信州方面に旅行に行った時のことだ。
標高約1000メートルの緑地で、葉上にとまるこの蛾を見つけた。
昆虫写真を撮るようになってからの信州旅行もこの時が初めてで、東京辺りでは見られない珍しい蝶を撮影できたと思い込んだものだ。
帰京後に蝶の図鑑を見ると、どこにも載っていない。ネットで蝶の画像を検索しても分からない。
分からない訳だ。蛾なのだから。
イカリモンガを初めて見つけて、同じような経験をされた方も多いのではなかろうか。
イカリモンガは昼行性(昼飛性)の蛾で、写真のように蛾では珍しく翅を閉じてとまる。
昼行性の蛾は蝶のように綺麗な模様のものが多いのだ。
その後は何度かこの蛾を見かけているが、この日撮った個体は、腹部先端から毛束が見えていた。
これはヘアペンシルのようだ。
この蛾は♂が♀を惹き付けるタイプの蛾で、このヘアペンシルを断続的に出し入れして性フェロモンを放出し♀を呼ぶらしい。従ってこの個体は♂と言うことになる。
このヘアペンシルは出し入れできるらしいので、毛束が見えないからと言って一概に♀とは断定できないようだ。
ヘアペンシルはアサギマダラやオオゴマダラなど一部の蝶の♂にもある。まったく昆虫の世界は奥が深い。

最後におまけ。
◎今日のニャンコ ♪(2013年4月15日、裏高尾)
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参考サイト:虫Naviみんなで作る日本産蛾類図鑑

撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-04-16 05:44 | | Comments(4)

河川敷の蝶 その2−−ミヤマチャバネセセリ ほか(2013年4月15日)

4月12日、ギンイチモンジセセリのポイントで歩き回ること2時間半、ギンイチモンジセセリの停止写真を撮る前にミヤマチャバネセセリを撮ることになった。
嬉しい!
ミヤマチャバネセセリは昨年もずっと気にしていながら結局出会えなかった、自分としては初見の蝶だ。
例によってやや離れたところからまず1枚撮る(写真1)。

▼写真1 ミヤマチャバネセセリ その1a 開翅(ノートリミング、2013年4月12日、東京都)
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この蝶は開翅写真よりも裏翅を撮りたいがなかなか翅を閉じてくれない。
そうこうするうちに一旦飛んですぐに戻ってきた。
セセリチョウ科の蝶は小型ながら飛翔能力は相当高い。あっという間に見えなくなるが、またあっという間に戻ってくる。
今度は匍匐前進しながらにじり寄って撮る。うまい具合にミヤマチャバネセセリらしい裏翅も撮れた(写真2〜4)。
セセリチョウ科の蝶の多くは地味な茶色をしていて、翅を開いてもどうということはない。蝶に詳しくない人は、蛾ですか? と言う場合もあるほどだ。
しかし、蝶をアップで撮りはじめて気がついたが、セセリチョウ科の蝶は身体の割りに眼が大きく、特に顔面をメインに撮るとぬいぐるみのようで意外に可愛いのだ。

▼写真2 ミヤマチャバネセセリ その1b(2013年4月12日、東京都)
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▼写真3 ミヤマチャバネセセリ その1c(ノートリミング、2013年4月12日、東京都)
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▼写真4 ミヤマチャバネセセリ その1d(2013年4月12日、東京都)
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この日は朝10時には河川敷に来ていたが、ミヤマチャバネセセリを撮ったのは12時半過ぎ、目的のギンイチモンジセセリを撮ったのはその後のことである。
その間何をしていたかと言えば、歩き回っていたのだった。
もちろんただ歩き回っていた訳ではなく、蝶を探していたので、ギンイチモンジセセリがなかなか見つからない間に、以下のような蝶を撮ったりしていた(写真5〜11)。

▼写真5 ツバメシジミ♂ 半開翅(2013年4月12日、東京都)
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ツバメシジミは今季初撮り。この日は♂しか見られなかったが、翌13日には♀も撮ることができたので、いずれ近いうちにツバメシジミ♂♀を一緒に紹介したいと思う。
このツバメシジミ、昨年はこの付近で4月25日が初撮りだったようだ。
昨年までは河川敷で見かけるイメージは持っていなかったが、今年は河川敷をよく歩くせいか、まだ河川敷でしか見ていない。

▼写真6 ヒメウラナミジャノメ(2013年4月12日、東京都)
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▼写真7 ヒメウラナミジャノメ 開翅(ノートリミング、2013年4月12日、東京都)
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ヒメウラナミジャノメも今季初撮りだった。5月以降には個体数も多く見られ、あまり熱心に撮る蝶でもない。昨年は5月13日初撮りなのでかなり早い気がするがどうだろうか。
ヒメウラナミジャノメは河川敷の蝶ということはなく、割りとどこでも見かけるようだ。

▼写真8 モンキチョウ(2013年4月12日、東京都)
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モンキチョウは河川敷でよく見られる蝶だ。河川敷をよく歩く今年は先月からモンキチョウばかり見ている気がする。

▼写真9 ツマキチョウ♂ 半開翅(2013年4月12日、東京都)
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▼写真10 ツマキチョウ♂ 開翅(2013年4月12日、東京都)
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実はツマキチョウも今季初撮り。昨年は4月10日が初見、4月20日が初撮りなので、まあ例年通りといったところだろう。
私はどうもこのツマキチョウと相性が悪いらしく、昨年も一昨年もろくな写真が撮れていない。なかなか目の前にとまってくれないのだ。
取りあえず♂の写真が撮れたが、今年はどうだろうか。
ツマキチョウが河川敷の蝶かどうかは微妙なところだ。タネツケバナなど水辺の草が食草のようだが、都内では同じく食草のオオアラセイトウ(別名ショカッサイ、ムラサキハナナ)の花が公園はもとより、線路脇の土手にかなりたくさん咲いているのが見られる。そのせいか、東京近郊よりも都心の方がツマキチョウの姿が多いような気がするがどうだろうか。

▼写真11 ルリタテハ 開翅(2013年4月12日、東京都)
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ルリタテハは河川敷の蝶ではないだろう。この近くにはコナラの多い雑木林があるほか、公園内には食草のホトトギスが植えられている。以前はそこで幼虫の姿も見られた。
たまたま用水路脇の石の上にとまっていたので、いかにも水辺で撮ったような雰囲気の写真になった。

撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-04-15 02:59 | | Comments(0)