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上高地の昆虫たち−−山の残り蛾(2013年7月29日)

上高地での宿泊ホテル近くの草地でヒメシジミを撮っていると、金属光沢のある昆虫が眼の端に見えた。
何か美麗な甲虫でもいるのかと思うと、青い金属光沢の綺麗なツマキホソハマキモドキだった(写真1、2)。
前翅長10ミリ以下の小さな蛾だが、ヒメハマキガと違って翅の畳み方が平べったいので、意外に写真は撮りやすかった。

▼写真1 ツマキホソハマキモドキ その1a(ノートリミング、2013年7月19日、上高地)
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▼写真2 ツマキホソハマキモドキ その1b(2013年7月19日、上高地)
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ツマキホソハマキモドキは別名マイコモドキという。
この蛾は後脚を持ち上げてクルクル回転させたりするらしい。撮影時にはそんな仕草をするとは知らず、よく観察しなかった。撮影写真を見ると確かに後脚が2本とも後翅外側に出ている。
後脚を触角のように動かすことで、捕食者を錯覚させると言われている。シジミチョウ科の尾状突起のような役割なのかもしれない。

写真3はコナミスジキヒメハマキ。
ヒメハマキガはやはり撮りにくい(苦笑)。不明瞭な写真なので同定もちょっと不明瞭だ。

▼写真3 コナミスジキヒメハマキ(2013年7月21日、上高地)
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写真4はマツアトキハマキ。
ハマキガは似た種が多くて同定が難しいので、普段はあまり撮らない蛾だ(笑)。

▼写真4 マツアトキハマキ(ノートリミング、2013年7月21日、上高地)
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写真5はオオボシオオスガ。
お土産店のガラス窓にとまっていた。

▼写真5 オオボシオオスガ(2013年7月21日、上高地)
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写真6はテンクロアツバ。
梓川沿いの散策路脇の葉上にとまっていた。

▼写真6 テンクロアツバ(2013年7月21日、上高地)
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写真7はトビネオオエダシャク。
これは宿泊ホテル玄関のガラス窓枠にとまっていた。これだけ触角が発達していれば♂と考えていいのではなかろうか。
上高地ではホテルの窓に集まる蛾も期待していたのだったが、思ったほどではなかった。

▼写真7 トビネオオエダシャク♂(ストロボ撮影、2013年7月19日、上高地)
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写真8はキシタエダシャク。
写真9はカドモンヨトウ。
この両種は河童橋近くの休憩所の軒下にとまっていた。

▼写真8 キシタエダシャク(2013年7月20日、上高地)
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▼写真9 カドモンヨトウ(2013年7月20日、上高地)
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写真10はスジモンヒトリ。
写真11はヤナギドクガ。
写真12はウンモンスズメ。
これら3種は、やや山よりの公衆トイレ外壁にとまっていた。
スジモンヒトリは3匹、ヤナギドクガは数えたわけではないが10匹くらいいたような気がする。
ヤナギドクガの食樹はオオイチモンジと同じドロノキ。この辺りにたくさんいるわけだ。
スジモンヒトリもウンモンスズメもケヤキなどニレ科の樹木が食樹になっている。
この付近にはハルニレの巨木があるらしい。
ウンモンスズメは都内でもよく見かけるスズメガだが、上高地のウンモンスズメは心なしか緑が鮮やかに見えた。

▼写真10 スジモンヒトリ(2013年7月20日、上高地)
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▼写真11 ヤナギドクガ(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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▼写真12 ウンモンスズメ(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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ちなみにこの公衆トイレの軒下では先に紹介した羽化間もないミドリヒョウモンも見つけている。
不審者に間違えられる危険性はあるが、野外ではやはりトイレ周辺のチェックは欠かせない(笑)。
何しろ上高地ではオオイチモンジもトイレ外壁にとまっていたりするから…。

参考サイト:虫Naviみんなで作る日本産蛾類図鑑ほか

撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-07-29 00:01 | | Comments(10)

上高地の昆虫たち−−シジミチョウ編 カラスシジミほか(2013年7月28日)

上高地のバス停で降りて宿泊ホテルに向かう途中、草むらでシジミチョウを何匹か見かけた。
擦れた個体ばかりだったが、ヒメシジミだった。
14時台にはまだ飛んでいる個体もいたが、ホテルに荷物を下ろして周辺をひと回りしてから戻ってみた16時半くらいには葉上で翅を畳み、じっとしている個体が多かった。もうお休みの態勢なのだろうか。
ヒメシジミは昨年の同時期に白馬方面に旅行に出かけた時にも見かけているが、やはり既に擦れた個体ばかりだった。
写真1、2はヒメシジミ♀。
写真3、4はヒメシジミ♂。
こうして見比べてみるとやはり♀の腹部はふくよかだ。

写真1 ヒメシジミ♀ その1a(ノートリミング、2013年7月19日、上高地)
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写真2 ヒメシジミ♀ その1b 開翅(2013年7月19日、上高地)
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写真3 ヒメシジミ♂ その1(2013年7月19日、上高地)
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写真4 ヒメシジミ♂ その2(2013年7月19日、上高地)
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写真5は翌朝6時14分に同じ場所で撮影したヒメシジミ♂。
前日の夕方、草むらの葉上にとまっていた3匹のヒメシジミは、翌朝も同じ位置にとまっていた。
朝6時台には草も蝶も、蜻蛉も蜂も朝露でびっしょり濡れていた。
いつもそうなのか、吐く息も白くてびっくりした。
この写真を撮った翌日、朝6時半頃に河童橋付近の寒暖計を見ると11.5度だった。この写真を撮った日はもう少し気温が低かったかもしれない。
写真6はピントも露出も、蝶の新鮮度も今ひとつだが、同じシロツメクサに♂と♀が同時にきていたので載せてみた。

写真5 ヒメシジミ♂ その3(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真6 ヒメシジミ♂♀(2013年7月21日、上高地)
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写真7〜12はカラスシジミ。腹部のふくよかな感じから♀のように思われたがどうだろうか。
カラスシジミは観光スポットからはやや遠い場所のベンチ前で見つけた。
羽化間もないのか、飛ぶ気配がなく、地面を歩いたり、指を差し出すと素直に乗ってきて、手の上を歩き回ったりした。
写真11のあとには、中脚で触角を拭う仕草も見られた。やっぱりシジミチョウは可愛い。
最後は葉上に乗せて名残の一枚(写真12)。

写真7 カラスシジミ その1a(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真8 カラスシジミ その1b(2013年7月20日、上高地)
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写真9 カラスシジミ その1c(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真10 カラスシジミ その1d(ストロボ撮影、2013年7月20日、上高地)
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写真11 カラスシジミ その1e(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真12 カラスシジミ その1f(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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東京郊外の公園や野山、丘陵方面では平地性ゼフィルス6種類は見られるが、それ以外のゼフィルス類にはなかなかお目にかかれない。
信州方面では7月以降でもいくつか見られるはず。何か一種類でも見られたら…と密かに期待していた。
これで私が見たゼフィルス類は8種類になった。25種全部見るなど夢のまた夢だが、8月には岩手に帰省するので、新たな出会いを求めて山登りでもしてみようかと思っている。
(追記:後日確認すると、カラスシジミはゼフィルスに入っていなかった(恥)。従って見た種類はまだ7種類のままである。事前にちゃんと確認しなかったのは痛恨の極みだ。恥ずかしいので文章を訂正したいところだが、昆虫ブログでは間違いも付き物と考える。このような間違いも他山の石としていただければと、追記の文章で訂正しておく。
なお、カラスシジミの幼虫はハルニレを食樹としているようだ。この蝶を撮影した場所にはハルニレの巨木が点在していると、後日分かった。どんな木なのかよく見ておきたかった。2013年7月29日)

参考文献:『フィールドガイド 日本のチョウ』(日本チョウ類保全協会編、誠文堂新光社)

撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-07-28 00:01 | | Comments(4)

上高地の昆虫たち−−セセリチョウ編 コキマダラセセリほか(2013年7月27日)

上高地で見かけたセセリチョウ科の蝶は、擦れてしまって何セセリか判別できない個体も少なからずいたが、コチャバネセセリが多かった(写真1〜3)。
写真1は宿泊ホテルの前の草むらに咲くオカトラノオの花にきていた。
写真2は花の名前が分からなかった。蝶がきている花の名前が分からないと何だか悔しい。
写真3は河原で撮ったものだが、腹部を前方に曲げて、水分を出したように見えた。これを地面に垂らしたのか、口吻で吸い取ったのかは分からなかった。

写真1 コチャバネセセリ その1(ノートリミング、2013年7月19日、上高地)
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写真2 コチャバネセセリ その2(2013年7月21日、上高地)
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写真3 コチャバネセセリ その3(2013年7月20日、上高地)
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写真4〜6はイチモンジセセリ。写真3のコチャバネセセリと同じ河原で撮影した。こうしてみるとイチモンジセセリの複眼はやはり大きく感じる。

写真4 イチモンジセセリ その1a(2013年7月20日、上高地)
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写真5 イチモンジセセリ その1b(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真6 イチモンジセセリ その1c(ノートリミング、2013年7月20日、上高地)
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写真7〜10はコキマダラセセリ♀。
コキマダラセセリは初見の蝶だ。撮影時には何セセリかはっきり分からなかったが、ひょっとすると初見のセセリチョウかもしれないと思っていた。
名前が分からなかったとはいえ、コチャバネセセリやイチモンジセセリとは明らかに色が違うので、熱心にシャッターを切ったようだ(約20枚)。♂の写真も撮れていればなお良かったが…。


写真7 コキマダラセセリ♀ その1a(2013年7月20日、上高地)
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写真8 コキマダラセセリ♀ その1b(2013年7月20日、上高地)
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写真9 コキマダラセセリ♀ その1c 開翅(2013年7月20日、上高地)
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写真10 コキマダラセセリ♀ その1d 開翅(2013年7月20日、上高地)
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セセリチョウ科では高山蝶・タカネキマダラセセリとの出会いも期待していた。上高地の観光スポットは標高約1500メートル。タカネキマダラセセリに出会うにはもうちょっと標高の高い場所に行かないと駄目なのだろう。

上高地で撮影した蝶たちも、あとはシジミチョウを残すのみ。
蝶ばかりじゃつまらない、と言う方もおられるかもしれないが、もう一日だけお付き合いください。

参考文献:『フィールドガイド 日本のチョウ』(日本チョウ類保全協会編、誠文堂新光社)

撮影機材:ニコンD7000 & AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

# by mikiosu | 2013-07-27 00:01 | | Comments(2)